【「ツクールフォーラムアドベントカレンダー2020」特別投稿】『自作ゲーム第4弾「Maid vs Vampire」公開告知と制作秘話』

2. 制作秘話

【ご案内】
 本記事は、「ツクールフォーラムアドベントカレンダー2020」24日目の記事です。

 『はじめに - 「Maid vs Vampire」の紹介』をお読みになった方の中には、テルミナ™が過去に手がけた作品と特徴が似ていると感じられた方もいらっしゃるかも知れません。

 実は、「Maid vs Vampire」は、私が過去に公開し、大人の事情により公開終了を余儀なくされた自作ゲーム第2弾「Escape from the Eccentric」の作り直しという意味合いが強い作品です。

「Escape from the Eccentric」とは?

Escape from the Eccentric

 2016年10月30日(日)に公開し、2017年7月18日(火)に諸般の事情により公開を終了した、拙作ゲーム第2弾となった探索型のホラーテイストアドベンチャーゲームです。

 「Maid vs Vampire」と同様、こちらにつきましても、原則として敵を倒せず、敵に触れられると即死することや、敵の追跡をかわすために「扉を閉める」アクションが追加されるなどの特徴を持っていました。

 この作品は私の発案によるものではなく、当時の知り合いから「脱出ゲームを作ったらどうか」と話があったことがきっかけとなって制作を始めました。ところが、当時の私は脱出ゲームの何たるかを全く理解しておらず、脱出は脱出でも部屋ではなく屋敷そのものから脱出するという、脱出ゲームの範疇に入りそうにもないゲームが仕上がってしまいました。

 残念ながら、この作品を再度公開することは出来ませんが、当時の雰囲気については、「RPGツクールMV Advent Calendar 2016」に寄稿した記事「【「RPGツクールMV Advent Calendar 2016」特別投稿】『脱出ゲーム未経験者による脱出ゲームの作り方』」に残しております。

 「Escape from the Eccentric」は、まだゲーム制作歴が短かった私が、試行錯誤しながら2ヶ月程度で作り上げた作品であり、個人的にも非常に思い入れのある作品となったのですが、それだけに、大人の事情で公開を終了せざるを得なくなったことが残念でなりませんでした。

 このような失敗を繰り返さないために、「Escape from the Eccentric」の要素を随所に取り入れつつもストーリーを一から作り直したのが、今回公開することとなった「Maid vs Vampire」です。

制作着手前に苦労した点

山手西洋館のひとつ「ベーリック・ホール」

 「Maid vs Vampire」の制作を開始したのは、「RPGツクールMZ」が発売された2020年8月になってからですが、構想自体は2020年2月時点で既に浮かんでおりました。

 先述の通り、「Maid vs Vampire」は、大人の事情により公開終了を余儀なくされた自作ゲーム第2弾「Escape from the Eccentric」の作り直しという意味合いがあるのですが、それ故に、今回はゲームの舞台となる洋館をよりリアルな洋館に近づけたいと考えました。

 そこで、私が住む東京からも比較的近い横浜の「山手西洋館」を、実際に見学しようと思うに至りました。

 ところが、新型コロナウイルス蔓延の影響により、よりによって私が見学しようとしていた2月29日(土)から当分の間、館内を見学することが出来なくなってしまいました。

 その後、6月頃から徐々に見学可能な状態になりました。さらに、「RPGツクールMZ」の発売も発表されたことで、一度は諦めていた年内制作着手に動くことにしました。

 そこで、8月9日(日)に、「山手西洋館」の見学をしてきました。

 しかし、せっかく資料集めしたかったのに、長時間の滞留が好ましくないのか、写真撮影は禁止されたままでした。従いまして、本当に見学だけして雰囲気だけつかんで帰るという、もったいないことをしてしまいました。

 ちゃんと写真撮影も出来ていれば、ゲーム内の洋館ももうちょっとリアルな雰囲気になっていたかも知れないと思うと、残念です。仕方ありませんので、「Maid vs Vampire」でも、「ゲームの世界の洋館」に仕上げてしまうことにしました。

 とはいえ、西洋館見学も全くの無駄に終わったわけではなく、当初設置予定のなかったサンルームやワインセラー、展望室などの設置にも繋がりましたが。

制作で苦労した点

プレイヤーの視界は限られる

 実は、「Maid vs Vampire」では、当初の予定では採用するはずだった仕掛けの一部を泣く泣く不採用にしています。

 その中でも最たるものは、部屋から出入りしたときなどにマップの切替をせずに視界だけ切り替わるようにする仕掛けでした。

 「Maid vs Vampire」を制作するに当たって、「Escape from the Eccentric」よりもさらにホラー感を出すために、2D画面でありながらもプレイヤーの視界についてこだわりを持つ…はずでした。

 ところが、プレイヤーの環境によってはこれが原因でゲームにならないくらいに処理速度が遅くなってしまうということが、βテスト開始後にテストプレイヤー様からのご報告によって判明致しました。

 廊下にいるときは部屋の中の様子が一切見えず、部屋に入ると今度は部屋の様子が見えるようになる代わりに廊下が見えなくなる、ということをしたかったのです。

 RPG、特にいわゆるシンボルエンカウントを採用していない昔ながらのゲームであれば、単純に場面ごとにマップを小分けにしてしまえば容易に対応できます。

 しかし、「Maid vs Vampire」では、敵がプレイヤーを発見したときに、扉を越えて敵にプレイヤーを追跡させようとしていました。そのため、マップそのものは広いものを1枚用意し、その1枚のマップの中で視界だけ変えるということをする必要がありました。

 具体的には、マップ全体にリージョン番号を設定し、部屋、といいますか、プレイヤーに見せたい視界ごとに異なるリージョン番号を割り振りました。そして、RPGツクールMZの準公式プラグインである「CommonEventStepRegion.js」を用いて、リージョンに足を踏み入れるごとに視界を切り替えるための処理を呼び出すようにしました。なお、視界を切り替えるための処理は、主に「Community Lighting」というプラグインを用いておこなうはずでした。

 ところが、「Community Lighting」は非常に強力なプラグインではありますが、それ故にある程度以上広いマップで適用すると途端にゲームのパフォーマンスに悪影響を及ぼしていました。

 そのため、当初予定していた演出の採用は諦め、軽量版の「Ultra Mini Community Lighting」プラグインを採用し、それで実現可能な見せ方をするように切り替えました。一応、視界の切替自体はしますが、廊下にいても部屋の中の一部が見えたり、部屋にいても廊下や隣の部屋の一部が見えたりするという、やや不自然な動きになっています。しかし、やりたい演出のためにパフォーマンスが犠牲になるようでは本末転倒です。

 まあ、おかげで、薄暗い照明が灯る場所が増えて、ホラー感が増したのは、怪我の功名と言ったところでしょうか?

  • 当初の視界切替の案
    • 【Before】廊下から…【Before】トイレへ…
  • 正式採用することになった視界切替の仕組みの例
    • 【After】廊下から…【After】トイレへ…

制作後に苦労した点

 ひとまずβテスト版第0版ができあがり、自分も手持ちのMacBook Pro 2018実機でゲームを動かしてみようと思い、ゲームをMac向けにデプロイしていざ実機上で起動しようとしたところ、Mac側で起動が拒否されるという現象が起こりました。

 昨年リリースした「The Last Wizard Complete Edition」まではそんなことなかったはずなのにと思い、何度かデプロイをやり直してもやっぱりダメ。

 いろいろと調べたりほかの方からのアドバイスを受けたりして、原因は「RPGツクールMZ」ではなく、Windows上でファイルを圧縮するために用いたソフトウェア側の問題だとわかりました。

 結局、Windows上でMac向けにデプロイしたゲーム一式を本当にMac実機上で展開して起動させるために、Windows端末に「Windows Subsystem for Linux」をインストールし、ゲーム一式の圧縮はそちらの中でおこなう必要が出てしまいました。

 ことの顛末につきましては、下記のスレッドや記事をご覧くださいませ。

 Windows版の「RPGツクールMZ」でゲームを制作されている方、特にMacの実機をお持ちでない方は、是非参考にしてください!

 しかし、Macはいつからこんな挙動になったんだろう…。昔はこんなこと言われた覚えもないのに…。